The Wind from Seattle

Vol. 45

The Wind from Seattle Vol. 45

今年は30℃を超える日が続くという記録的な暑さの夏が来ている。それでも湿度が低いので日陰に入って少しでも風があれば汗が吹き出すということはない。しかしシアトルでこの暑さは特別だ。ワシントン大学の湖寄りにカヌーの貸し場があるので、水恋しさにそこへ出かけた。日射が強く途中ギブアップを想定して、できるだけ島沿いに漕ぐことにした。群生するハスが美しく、鴨が人懐っこく寄ってきて賑やかに鳴きながら一緒に泳いでくれる。

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小枝を円く積んだビーバーの大きな巣山があったり、所々に咲くかわいい草花に深呼吸したり、緑の自然を満喫しながら夏の景色の中をゆっくりゆっくり進んだ。湖水が思ったより冷たく木々に茂る葉や草の匂いを含む風が涼しくて気持ちいい。

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中洲の裏側に秘密の水路があると聞いていたので島から回り込んでみるとそこには現実離れした別世界があった。冷たい空気がさーっと流れているのに水面は波がなくピカピカに磨いた鏡のようになっている。まるで上と下に森があってその隙間をカヌーが滑っていくような錯覚があった。

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暫くすると森が切れ明るくカラフルないつもの風景に戻り、ハイキングを楽しむ家族が元気よく歩いているに出会ってなんだかほっとした。よいしょと腰をあげて外へ出ればこんな具合に面白く過ごせる夏もいいものだ。次は弁当持ちでもっと時間をかけて探索してみよう。

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レンズが切り取る小さな空間には肉眼では浮かんでこないいろいろな物語がつまっている。写真をじっと見つめているとその時の気分次第で異なったストーリーを読み聞かせてくれる。そしてそこに人物を登場させてもいいし、風や匂いも加えたらいい。そんな想像を自由に膨らませるのが自分流の写真遊びだ。

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最近は望遠レンズをつけたカメラをサブで持つようにしている。置きピンで道路向こうの好きなシーンを素早く撮ることができるし、被写体の主題を明確に狙えるのがいい。

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ファンタジー小説「The Boy with Golden Eyes」も第五巻を発売するに至った。日本語翻訳版が出版されることを願って応援を続けているのだが、特に日本ではこの分野の書き物を成功させるのが難しいらしくまだ実現していない。今は屋台で新刊を宣伝販売するこの写真を見ながら、雰囲気が既にファンタジーの世界だなあと不思議な感覚。やはりMarjorieの霊感がなせる業か。近い将来、ハリーポッターや指輪物語のように世界中で読まれることを夢みながら、向かって右から著者(Marjorie Young)、Sammy(主人公 Rupert)、Lucie(Lira)、Daisy。

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登場人物のモデルになっているルーシーも、そしてサミーも、物語が進むのと同様すっかり逞しい若者になりつつある。

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友達と楽しそうに立ち話。内容は分からないけど、それぞれが話し、他がそれをよく聞き、一人おしゃべりでなくバランスよく話を回している。どうも学生時代の同級生のようだ。久しぶりに仲良しが集まったのだろうか。この後横のレストランに入っていったけど、この調子で続くんだったら自分の一年分の会話の量ぐらいになるんだろうなって、まずは彼女たちのエネルギーに感心しました。

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すごくいい雰囲気の二人。気づかれないようサッとシャッターを切ろうと思ったら目が合って、軽く挨拶。「そのカメラ、フィルム?」なんて聞かれて結局撮らせてもらった。かわいいStephanieさんとボーイフレンド(ごめん、名前忘れちゃった)。

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先日、車のラジェーター回りが故障して修理に家まで来てもらった。彼の道具箱を覗いたら丁寧に手入れをしながら長年使っていると思われる、鈍い光と摺り込まれた油の匂いを放つ実に渋い工具があって、この職人の技量と真面目さが分かるような気がした。これ、女性には汚くて臭い古道具としか見えないんだろうねえ、はっはっはっ。 …バシっっ☆☆、イテー

( 2015.08.06 )